筑豊の炭坑では、1881年(明治14年)、目尾(しゃかのお)炭坑(現飯塚市)で初めて蒸気ポンプ(スペシャルポンプ)による揚水が成功しました。以後筑豊の炭坑では、多種多様な機械を積極的に導入していきます。
機械化による炭坑の近代化は、急激に増加する石炭の需要に応えていきます。
ところで、山本作兵衛翁は鍛冶工の経験があったことから、炭坑の機械を非常に細かく描写していることが大きな特徴です。
ネジに至るまでの細部の描写はもちろん、ポンプや巻揚機などの動力が、蒸気から電気に変遷する過程を詳細に描いています。
導入当初は日本において最新式だったスペシャルポンプについても、作兵衛翁の時代では性能が悪い旧型品として紹介されています。
明治期の機械の写真類があまり残されていない現在において、機械に詳しい作兵衛翁の詳細な解説は、炭坑記録画の記録性の高さを表しています。
「坑内坑外のポンプ」
→炭坑の災害
※このページは、広報たがわ平成23年9月1日号に掲載された内容を基に作成しています。
→広報たがわ平成23年9月1日号