梵鐘(岩亀八幡神社) 最終更新日:2025年3月1日 印刷 この梵鐘(ぼんしょう)は、岩亀八幡神社拝殿の天井に吊り下げられています。 梵鐘は総高84.2cm、口径48.7cmをはかります。頂部に竜をかたどった吊鐶竜頭(つりかんりゅうず)を設けます。笠形は丸みを帯び、鐘身の帯状文は素朴で、乳の間・池の間に区画されます。乳の間は、宝珠形(ほうじゅけい)の乳頭を一区画4段4列が4区に配列されます。撞座(つきざ)は中帯に位置し、八葉の複弁蓮華文です。中房の蓮子は9個です。最下段の駒の爪は外に張り出します。 製作技法は、池の間の上・下端に鋳型継目が認められ、その上に笠形部を重ねる3分割する鋳型分割と考えられます。竜頭や撞座の位置から室町時代の作風がみられます。 また、銘文が2カ所確認できます。1つは制作の由来を記した明徳4年(1393)銘が池の間に、もう1つは延享4年(1747)銘で、乳の間に北九州市小倉南区の企救郡貫八幡(現在は荘八幡神社)から移された由来を追銘で記されています。 銘文から伊加利の大善寺城主であったと伝えられる大江貞政が、小倉の鋳物師安宗に鋳造させて寄進したものと伝わります。 このように、室町時代の製作技法がみられ、製作由来などが銘文によって明らかなのは大変貴重で、福岡県指定文化財(有形文化財 工芸)に指定されています。 指定年月日:平成8年(1996)5月31日所 在 地:田川市大字伊加利1072番