坑夫取立免状(指定年月日:平成28年11月29日)
鉱山(金・銀・銅)に従事した坑夫には、徒弟制度による伝統的技術伝承と互助を目的とした自主的共済制度を備えた「友子」と呼ばれる坑夫が存在していました。この友子の一員となるためには修行期間を経て、期間が終了すると関係者の立会の下「取立て式」を行い一員と認められ、一員の関係を示した「取立免状」が交付されました。
筑豊炭田では、「納屋制度」が友子制度の機能を果たしていました。また、農村出身者が炭坑労働者の主体を占めていたことから、これまで友子制度が存在しなかったと考えられていました。
指定を受けた市石炭・歴史博物館所蔵の「坑夫昇進免状」、「坑夫昇進免状表」、「免状目録」の3巻はこれまでの定説を覆し、友子制度の内容の解明にも繋がる重要資料であり、かつ、筑豊における友子の存在を示すものとして指定されました。
これら3巻は、筑豊で確認できる原本は少ないため、今後、適切な保管を図っていきます。
坑夫昇進免状 (大正3年伯耆国若松鑛山)