
この調査は、土地の国勢調査ともいうべきもので、国をあげて実施される大切な国土調査です。
私たちに戸籍があるように、土地にも戸籍(地籍)があります。
しかし、土地の記録として重要な公図は、明治時代初期の地租改正時に作られたものがほとんどで、実際の土地と比べ大きさや形、隣接する図面が合わなくなっているため、みなさんの貴重な土地を守ることができないばかりでなく、境界紛争の起こる原因にもなっています。

(→地籍調査について、詳しく解説しています。国土交通省 地籍整備課)
地籍調査事業とは
地籍の明確化を目的として、国土調査法に基づき実施される事業です。
法務局(登記所)の公図や登記簿を基に、宅地、田畑、山林、道路などそれぞれの土地に関する所有者、地番、地目、境界について調査測量を行い、精度の高い地図(地籍図)などを作成します。
地目とは、土地の主な用途を定めたもので、23種類あります。
田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地
地籍調査の流れ
(1)地籍調査の実施計画作成
調査を実施しようとする地域を、関係機関との協議や調査を行い、いつ調査するかという計画を作ります。
(2)推進員の選出
現地調査が正しく円滑に行われるように地元推進員を選び、推進員の方のご協力をいただき調査を進めます。

(3)地籍調査の地元説明会

調査を行う地域の住民の方々に集まっていただき、地籍調査の内容やその方法等について説明を行いますので、十分理解をお願いいたします。

(4)基準点測量(図根点測量)

国土地理院が設置した基準点を基に、みなさんの調査地区内に測量の基準となる杭を設置します。この基準杭は、土地の境界を示すものではなく地球上の正確な位置を示すもので、測量の基準となる点です。
この時、個人の所有地に設置させていただく場合がありますので、その際はご協力をお願いします。
基準杭が、支障になる場合は、大変ご面倒ですが、国土調査室までご連絡ください。

(5)一筆地調査(境界立会・境界杭の設置)

地籍調査では、この境界杭の設置が最も重要な作業です。
土地所有者の方々に自分の土地の範囲を明確にしてもらいます。公図などをもとに作成した資料を参考に、境界を確認します。
なお、この現地調査には、地元推進員・市職員・調査委託業者が同行します。
隣接地との境界がどうしても決まらないときは、「筆界未定(ひっかいみてい)」となります。この場合には、地籍調査後、所有者の間で境界が決定した時でも、自分たちの費用で測量し、法務局に地図と地積の修正を申請することとなるため、大変な手間と経費がかかりますので、この調査の趣旨を十分ご理解のうえ境界は必ず決めてください。
※境界立会時における注意点
(境界杭)
設置する境界杭は、頭部が赤のプラスチック杭で、土地の境界線の折れ点ごとに設置します。既にコンクリートの杭などが埋設してある場合は、はっきりわかるようにしておいてください。
設置された境界杭を現地で一本ずつ確認してナンバープレートを設置し、土地ごとに現地調査を行います。
●地籍調査では次のことを行うことができます。
- 1.合筆(条件にあった場合)
- 2.分筆
- 3.地目変更(農地の異動については農業委員会と協議が必要です。)
● 地籍調査では次のことを行うことができません。
- 1.所有者の変更(相続による所有権移転など。)
- 2.持分や相続による分割
- 3.権利設定などの違いがある合筆
- 4.農地法に関係する、地目の変更など

(6)一筆地測量
みなさんの土地に打った境界杭を正しく測量します。これにより、土地の位置が地球上の座標値で表示できるようになります。

(7)面積計算と地籍図・地籍簿の作成
測量の結果に基づいて図面を作成し、面積を算出します。

(8)成果の閲覧(閲覧期間20日間)
地籍図や地籍簿ができあがると、「閲覧」という機会を設けますので、その結果をみなさんに直接確認していただきます。みなさんが所有者として確認する機会ですので、その際はお忘れなくおいでください。
万が一、結果に誤り等があった場合には、申し出てください。ここで確認された地籍調査の結果が、最終的な地籍調査の成果となります。

(9)成果の認証と送付(法務局の登記)
完成した成果は、最後に国の承認と県の認証を受けたあと、法務局(登記所)に送付し、地籍図は新しい公図となり、地籍簿をもとに登記簿が修正されます。
これにより、地籍調査本来の目的が達成されたことになります。
※ 登記簿の表示事項が変更しても新しく権利書の発行はしませんので、現在の権利書を大切に保管してください。
田川市における進捗状況
田川市では、平成15年度より弓削田地区(糸田町・旧庄内町の行政境界)から事業を着手して、平成17年度からは、猪国地区(旧山田市の行政境界)を調査対象に入れ2班体制で事業展開を図り、平成21年度からは、伊加利地区を調査対象に入れ3班体制、平成25年度調査対象の夏吉地区に加え、平成26年度からの3ヶ年は伊田地区を調査対象とし、5班体制としました。平成29年度からの現在は、4班体制で事業の進捗を図っています。
田川市の全体面積54.55㎢のうち、令和6年3月現在、41.16㎢が完了済であり、約75.45%の進捗率となっています。
令和5年度の調査区域は、大字丸山町の一部・大字伊田の一部・大字奈良の一部・大字夏吉の一部です。
進捗状況及び令和6年度地籍調査事業実施区域は次のとおりです。
地籍調査の効果
- 境界などの土地に関する権利が明確となります。
- 登記簿の記載事項の修正、整理ができます。
- 現地と図面が一致しているため、安全な土地取引ができ、分合筆が容易になります。
- 現地で境界が不明になっても、地籍図は復元能力があり、正確に境界を現地に復元することができます。
- 地籍図は精度の高い地図として、公共事業などの円滑な実施ができます。
- 土砂崩れ、水害等の災害がおきても、現地復元が可能であり、復旧工事が円滑にできます。
- 土地の所在・地目・地積・所有者等が明確となり、固定資産税等の課税の適正化につながります。
- 地籍調査の成果を基礎データとして土地利用計画等さまざまな行政資料として利用することができます。
地籍調査成果等の交付について
田川市では、平成26年4月1日から地籍調査成果等の有料交付を始めました。
地権者のみなさまに境界確認をしていただき、測量が完了した土地の面積等が分かる地積測量図や土地の位置等が確認できる集成図などの交付を開始しました。詳しくは、下記の地籍調査成果等の閲覧及び交付申請事務取扱要綱を確認してください。また、交付の際には、地籍調査成果等交付申請書(様式第1号)の提出が必要になりますのでご注意ください。
なお、官公署につきましては、地籍調査成果等交付申請書(様式第2号)の提出が必要になります。
お願い
工事箇所に基準点などがある場合、その杭の移設が必要なときは、国土調査室に事前に
ご連絡ください。
一時撤去する場合は、工事完了後必ず元の位置に復元するか、又は移設する等の処置を
とっていただきますようお願いします。

※このページについてのお問い合せは「土木課 国土調査室」へ