「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」を実施しています!
「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」って何?

日本人の平均寿命は年々延び、人生100年時代と言われています。
そのため、平均寿命と健康寿命(※1)との差が大きくなることが懸念されており、その差が大きくなると、介護が必要な期間が長くなり、個人のQOL(生活の質)(※2)が低下するとともに、医療費や介護給付費などの社会保障負担も大きくなると言われています。
さらに、2025年までに団塊の世代全員が後期高齢者になるということもあり、今後も社会保障負担の更なる増加が見込まれています。
このような状況のなか、高齢者のQOL(生活の質)を維持するために介護予防や生活習慣病重症化予防がより重要になってきました。特に75歳以上の高齢者に、自主的な健康維持増進と疾病予防に取り組んでもらうため、国が法を整備し、令和2年度から全市町村で「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」を行うことができるようになりました。
※1 健康寿命とは、WHO(世界保健機関)によって提唱された新しい健康指標のことで、日常生活動作
が自立し健康で過ごせる期間のことを指します。
※2 QOL(生活の質)とは、どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出して
いるかという指標。
田川市が事業を開始するまでの経過
上記のような国の経過を踏まえ、
田川市でも、75歳以上の高齢者により自主的な健康維持増進と疾病予防に取り組んでもらうため、
令和4年度から「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」を開始しました。
保健福祉課保健センター(※3)が主体となり、本市後期高齢者に係る健康課題の解決に向けた様々な取り組みを実施しています。開始した当初(令和4年7月)に、事業の開始と取り組み内容について広報紙等でみなさんにお知らせしました。
※3 行政組織見直しのため、令和6年4月より
一体的実施事業の担当が 市民課保険係 から 保健福祉課保健センター に変わりました。
(令和4年7月号「広報たがわ」掲載内容)
事業の目的は?
「健康寿命の延伸」がこの事業の目的です。
地域における高齢者の通いの場(公民館等)を中心とした介護予防・フレイル(※4)対策(運動、栄養、口腔等)や生活習慣病などの疾病予防・重症化予防を一体的に実施し、健康寿命の延伸を図ることを目的としています。健康寿命の延伸を図ることで、医療費や介護給付費などの社会保障負担軽減を図りたいと考えています。
※4 フレイルとは、日本語に訳すと、「虚弱」「か弱さ」という意味です。加齢に伴い、からだや
心のはたらき、社会的なつながりが弱くなった状態を言います。フレイルは、健康と要介護の
中間に位置し、放っておくと要介護につながる危険があるといわれています。
対象者は?

田川市に住民票がある75歳以上の後期高齢者(後期高齢者医療被保険者)を対象にしています。ただし、地域等フレイル予防事業(※5)等に関しては、後期高齢者に限らず高齢者全般を対象としています。
どんなことをしているの?
- チームには、専門職( 保健師、管理栄養士、看護師 )が配置されており、次のような取り組みのなかで、後期高齢者の方々に関わらせていただいています。
1 健診結果をもとに、生活習慣病改善に向けてお手伝いします(生活習慣重症化予防)
| |
⑴ 糖尿病性腎症重症化予防
健診結果のうち、 ●HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) ●eGFR(イージーエフアール) ●尿検査(蛋白、潜血)
上記項目において田川市で定めている基準に該当した人を対象に、管理栄養士や保健師が栄養や生活習慣等について個別に保健指導を行います。また、保健指導にあわせて、専門医への紹介も行っています。 対象者の方には、保健センター(一体的実施事業担当)の保健師や管理栄養士が家庭訪問またはお電話でお話をさせていただいています。 糖尿病と腎機能の関係性はとても深く、とても大事です。すでに治療中、服薬中の方でも、今以上に重症化しないようにすることが大切なため、腎臓や糖尿病の専門医に現在の状態を診てもらうことも大切です。私たち保健師や管理栄養士が保健指導を通して重症化予防のお手伝いをさせていただきます。
| ⑵ 生活習慣病重症化予防
健診結果のうち、 ●血圧 ●LDL(エルディーエル)コレステロール ●HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
上記項目において田川市で定めている基準に該当した人で、かつ未治療の方を対象に、管理栄養士や保健師が栄養や生活習慣等について個別に保健指導を行っています。 対象者の方には、保健センター(一体的実施事業担当)の保健師や管理栄養士が家庭訪問またはお電話でお話をさせていただいています。 高齢者の方々の多くが、何かしらの生活習慣病を抱えています。そのため、健診で疑いのある生活習慣病は、早期受診・早期治療をし早めに対応することが重症化予防につながります。 早めに受診ができるよう、そして適切な生活習慣を送れるように私たち保健師や管理栄養士がお手伝いをさせていただきます。 |
2 健康状態を確認したりフレイル予防に関するお手伝いをします(アウトリート支援事業)
| |
⑴ 健康状態不明者把握
昨年度に、健診や医療、介護サービスなどを1回も受けていない方々を健康状態不明者とし、その方々の健康状態の把握を行っています。 保健師や管理栄養士が各ご家庭に訪問し、体調を確認させていただいたり、健診受診勧奨や必要に応じた受療勧奨を行っています。 健康状態不明の方々は、比較的元気な方が多い印象ですが、元気だからこそ、身体のメンテナンスのためにも年に1回は健診を受診する必要があります。健診を受診し、自身の健康状態を定期的に確認するようにしましょう。 連絡先が分からない方には、突然訪問したりお声掛けさせてもらうことがあります。訪問の目的はその都度ご説明しますが、ご理解いただきますようご協力のほどよろしくお願いします。
| ⑵ フレイル予防(個別指導)
健診を受診した方または各取組で「後期高齢者の質問票」を回答した方で、「主観的疲労感((1)あなたの現在の健康状態はいかがですか)」、「体重減少((6)6か月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか)」、「身体能力(歩行速度)の減弱(➆以前に比べて歩く速度が遅くなってきたかと思いますか)」、「筋力低下((8)この1年間に転んだことがありますか)」、「日常生活活動量の減少((9)ウォーキング等の運動を週に1回以上していますか)」の5項目のうち3項目以上に該当した方を対象に、フレイル予防に関する保健指導を行っています。 対象者の方には、保健センター(一体的実施事業担当)の保健師や管理栄養士が家庭訪問またはお電話でお話をさせていただいています。 フレイルは、早く気づいて、適切に対処すれば健康状態に戻れる段階です。フレイル予防のポイントをしっかりおさえて、できることから取り組みましょう。
|
3 公民館等に出向いてフレイル予防や健康づくりのお手伝いをします(地域等フレイル予防(※5))
| |
⑴ フレイル予防教室
市内公民館のうち、生きいき健康教室や生きがい公民館事業を実施している公民館において、フレイル予防教室を実施しています。 教室では、保健師や管理栄養士がフレイル予防に関する講話を行ったり、「田川市健康たーんと体操(田川市オリジナルのフレイル予防体操)」を用いた運動指導を行っています。また、運動指導は、市内で介護予防活動を実施している「NPO法人健康たーんとクラブ」の会員の方々にも参加してもらっています。
| ⑵ 後期高齢者医療被保険証交付説明会での健康教育
75歳に到達する方を対象にした後期高齢者医療被保険証交付説明会において、保健師や管理栄養士が健康教育を実施しています。 参加者の健康状態の確認を行い、フレイル予防に関する基礎知識についての講話を行っています。また、後期高齢者健康診査について、受診の必要性や受診方法をご紹介するほか、必要に応じて健康づくりに関する個別相談も行っています。
|
令和5年度の目標と実績
田川市では、事業開始当初から目標(長期・中期・短期)を掲げ、毎年度それぞれの目標ごとに目標値を設定しています。令和5年度の短期目標及び実績値は次のとおりです。
1 健康診査の受診率向上 【 目標値: 8.31% 】 → 【実績値: 8.40%】
2 保健指導実施率の向上 【 目標値: 15.0% 】 → 【実績値:94.08%】
3 健康状態不明者の割合の減少 【 目標値: 6.03% 】 → 【実績値: 4.47%】
4 医療機関受診勧奨者の受診率向上 【 目標値:25.33% 】 → 【実績値:76.28%】
5 質問票によるフレイルリスク該当者数の改善割合向上【 目標値: 7.60% 】 → 【実績値:67.82%】
令和5年度は、上記短期目標のうち、すべての項目の目標値を達成することができました。
これからはどんなことをするの?(令和6年度の目標)

令和6年度は、次のような目標値を達成できるように各取組を実施していきます。
1 健康診査の受診率向上 【 目標値: 9.92% 】
2 保健指導実施率の向上 【 目標値:22.50% 】
3 健康状態不明者の割合の減少 【 目標値: 5.90% 】
4 医療機関受診勧奨者の受診率向上 【 目標値:38.00% 】
5 質問票によるフレイルリスク該当者数の改善割合向上
【 目標値: 11.40% 】
田川市では、令和4年度から令和13年度までの10年間で、この事業を実施する予定にしています。事業の計画を以下の3期に分けて、各期末年度に取り組み実績の評価を行い、必要に応じて見直しをする予定です。
【1期:令和 4年度~令和 6年度】【2期:令和 7年度~令和 9年度】【3期:令和10年度~令和13年度】
令和6年度は1期終了年度となるため、今までの事業評価を行い2期以降の計画の見直しを行う予定にしています。
後期高齢者のみなさんにお願いしたいこと

みなさんは、年に1回は健康診査を受診していますか?
70代になると、約9割の方が医療機関に継続受診をしているといわれています。
「定期的に受診をしていたり毎月お薬を飲んでいるから、健康診査は受診しなくても大丈夫!」と、
思われるかもしれませんが、健康診査は、病気の早期発見だけでなく自分自身の健康状態を正確に知り、持病の重症化防止に向けた生活改善にも活用することができます。
もし健康診査で何かしらの病気が見つかったとしても、早期治療をすることができれば、体の負担や時間、医療費を最低限に抑えることができます。
また、健康診査を受診していただくことで、健診結果をもとに、一人ひとりの健康状態に合わせたアドバイスを私たち医療専門職が行うことができるため、より適切な生活習慣を送ることもできます。
人生100年時代といわれるなか、できるだけ長く、自立した健康的な生活を送るためにも、毎年1回は健康診査を受診して定期的に自分自身の健康状態を確認しましょう。
■後期高齢者健康診査の受診の流れ
1 受診方法を選ぶ(集団健診か個別健診)
集団健診(保健センターなど) または (2)個別健診(医療機関)のどちらかを選ぶ
【集団健診のメリット】 ・がん検診も一緒にできる(要予約)
【個別健診のメリット】 ・慣れたかかりつけ医院でできる
・定期受診のタイミングにあわせて一緒にできる
2 予約する ※令和6年度から、集団健診の予約方法が変更しています。↓
(1)集団健診の場合は、電話 または WEB で予約する
◆健診予約コールセンター(☎0120-901-529)に電話(平日9時00分~17時00分)
◆WEBで予約(24時間受付)
(2)個別健診の場合は、各医療機関 に電話するか窓口で予約する。
3 受診する
【受診時に必要な持参物】
(1)健診費用500円 (2)保険証 (3)受診票※
※年度の途中で後期高齢者になられる方は、お誕生月の10日以降に、後期高齢者健康診査受診票
が自宅に郵送されます。
※再発行を希望される場合は、後期高齢者医療広域連合(☎092-651-3111)にお問い合わせくだ
さい。
相談先・問い合わせ先
次のようなことでお困りでしたら、ご連絡ください。(平日 8時30分~17時00分)
・健康に関すること(例:生活習慣病を予防するための食事はどうしたら良いの?など)
・フレイル予防教室に関すること
(例:近くの公民館の教室に参加したい、フレイルの話を聞いてみたいなど)
・訪問不在票に関すること
(例:自宅に不在票が入っていた、本当に市役所の職員が訪問しているのか?など)

田川市保健センター(一体的実施事業担当) ☎0947-44-8270